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NHKスペシャル”脱炭素革命”とオーガニックのつながり Organic or Die?の時代がやってくる

NHKスペシャル”脱炭素革命”とオーガニックのつながり Organic or Die?の時代がやってくる

年末のNHKスペシャルで報道された「脱炭素革命の衝撃」という番組はご覧になりましたでしょうか? 少し難しい内容のドキュメンタリーでしたが、この話は私のように環境事業に携わっている人間だけではなく、日本の全産業に大きな衝撃を与えるインパクトの大きな報道だったと感じています。

ここ最近私の再エネの仕事の中で官公庁・企業の方々から伝わってくるのは、この世界中で進行する脱炭素革命に対する非常に強い危機感です。実は日本は、それだけ脱炭素革命という点では遅れを取っているのです。

詳しい話はNHKスペシャルを見ていただくとして(次回は2/26に放映されます)、今日は、脱炭素革命とオーガニックが実はつながっている!というお話をさせていただきたいと思います。

脱炭素革命=再生可能エネルギーへのシフトは、今や世界の常識になりつつある!

脱炭素とは、化石燃料(石油や石炭)から持続可能・再生可能なエネルギーへシフトしようとする動きです。

具体的には2015年11月のパリ協定で世界的にこの流れが合意され、いよいよ長期的に世界中で再生可能エネルギーへのシフトが起きてきます。

たとえば、かつては石油王と呼ばれたロックフェラーでさえも、現在では石油事業への投資から撤退するなど、世界的に石油産業=旧時代の産業でありもはやメインストリームには来ない、という認識になっています。

残念ながらアメリカはパリ協定から脱退しましたが、NHKスペシャルでも放映されているように、脱炭素化は第二の産業革命とも呼ばれるほどのインパクトをもっており、先進国を中心とする世界各国では既に常識であると考えられています。

日本は、脱炭素化の流れに大きく逆行、遅れを取っている!

ところが日本は、この脱炭素化の流れに大きく遅れを取っています。

脱原発が進まないことももちろんですが、原発事故のあと緊急の代替案として盛んに研究開発が進んだ高機能の火力発電を他国に輸出し、国際会議でブーイングを受けています。つまり日本は、脱原発もできないし、グリーン・エコに反する行為をしている「世界の流れに逆行している国」と見なされています。

食の安全性などで日本では評判があまり良くないお隣中国では、国家を挙げてグリーン化をすすめるという政策を打ち出しているのに、日本では国を挙げて時間の針を逆に回しているのではないかと批判されているのです。

※余談になりますが、実は中国は再生可能エネルギーの導入がものすごく進んでいます。日本人が知らないだけで中国は環境問題が深刻なのでオーガニックの需要も高くなっています。香港や上海などの大都市では消費量も多くなっています。

脱炭素化の遅れは、国内問題だけではない。全産業、全社会レベルに大影響

そして・・・実は、脱炭素化は単に発電事業とかエネルギー事業の問題だけではありません。その影響は、一見無関係な他の産業、一般企業にも及びます。

たとえば、この記事で話題にしているNHKスペシャルでは、ドイツのロジスティック企業DHLが脱炭素化を企業として推進するため、取引先の日本のリコーに対して脱炭素化の取り組みを迫っているシーンが出てきました。

このように、脱炭素化の取り組みをしていない企業の場合、脱炭素化をすすめる他国企業と取引ができなくなり、製品の輸出ができなくなる可能性が高くなります。

つまり、国を挙げてこの脱炭素化に取り組まなければ、日本は世界経済の輪の中から外され、取り残されてしまうという危機が日本に迫っているのです。

脱炭素化がすすむと、医薬品・化粧品・農薬など石油から作られた製品もオーガニック化せざるを得なくなる

脱炭素化がすすむと、石油を原材料として作られている製品が作れなくなるので、必然的にオーガニック化が進んでいくと思います。

※欧米のオーガニック企業は、持続可能性というキーワードから再生エネを積極的に取り入れているところがほとんどです。

たとえば、医薬品、化粧品、農薬などはほぼすべて、石油を精製した化合物から作られていますが、こうした形で製品を作れなくなるので、グリーンケミストリーなど植物を出発原料とする合成物質を使用したり、オーガニック化しなければならなくなるでしょう。

これまでのように「安価で大量生産できる石油系医薬品や化粧品や農薬」というものが市場から消える日がやってくるかもしれません。

つまり、時代とともに必然的にオーガニックシフトせざるを得なくなっていくでしょう。

Organic or Die? 自国のオーガニック産業を育てなかったら、日本は一気に後進国になるおそれがある

このように書くと、何か自動的に日本でもオーガニックシフトが起きてハッピーな未来がやってくる!と思ってしまうかもしれません。

しかし、ただ受け身でオーガニックシフトに巻き込まれてしまった場合、日本の未来は決して明るいとは言えません。

まず、自国にオーガニック産業が育っていなかったら、日本は海外のオーガニック産業に依存せざるを得なくなります。その結果、貿易収支上かなり赤字になる可能性が高いです。また、花形の輸出産業、たとえば自動車産業などもそれにともなって価格面で不利になる可能性があり、国際競争力を失うかもしれません。

何より、「オーガニックシフトが外側からやってきて巻き込まれる」と言うかたちになった場合、今後日本が世界のトップに巻き返すのはかなり困難な道になると思います。最悪の場合、一気に後進国へと転落して衰退の一途をたどる可能性すらあると思います。

この様子、幕末の黒船到来とかぶるなと思うのは私だけでしょうか?

つまり、Organic or Die?(オーガニックになるか、それとも死か?)というくらい切実な状況に追い込まれてからオーガニックシフトする場合、日本の今後はかなり辛いのではないかと思うのです。

自国のオーガニック企業を育てていくことが、未来の日本の持続的経済成長には絶対に必要!

オーガニック先進国として注目を集めているドイツですが、実は日本と同じくらい深刻な少子化がすすんでいます。人口が減少し少子高齢化が進む日本は、高い付加価値がつけられて各国で求められる産業を輸出していく以外に生き残る道はないと思います。

これまでは、高い付加価値がつけられて各国で求められる産業は、化石燃料ベースの自動車などの重工業だったと思います。しかし脱炭素化の時代を迎えた今、まったく新しい産業、つまり再エネやオーガニック産業こそが高い付加価値を持ち世界で戦える産業になることは間違いありません。

つまり、高い技術力や日本独自の再エネ産業・オーガニック企業を輩出していくことが国益レベルで必要だということです。ドイツでは世界的に有名な再エネ産業・オーガニック企業が多く世界をリードしています。たとえ中小企業であっても世界各国に拠点や代理店を持っているメーカーが多く、EUの中でも高い経済水準を維持しています。

もし、このような自国の再エネ産業・オーガニック企業を育てていかなければ、次世代の日本は本当に衰退の一途をたどる可能性があると感じています。

再エネ産業は、一般的な消費者ではダイレクトに関われない産業ですが、消費者がダイレクトに日々の生活の中で関われる国産のオーガニック産業は、消費者が育てていくことができます。

2歳の子どもを持つ母として感じるのは、自国、つまり日本のオーガニック企業への投資は自分の子どもへの投資とまったく同じだ、ということです。

少しむずかしい話になりましたが、まずは自分の身近なところにある国産オーガニック企業の製品を買い、それらの企業を育てていくことが、明るい日本の未来をつくることに直結しているのだということをお伝えしていきたいです。

今回のNHKスペシャルの脱炭素革命の話から分かること。それは、オーガニックはセレブや芸能人が使うものだから素敵!とか、病気になるのが怖いからとかいう自分自身のメリットの話だけではなく、これからの日本にとって社会レベル・国益レベルで「必然」なものなのだということです。

是非、日本のオーガニック企業を応援していきましょう。そして、少しでも広めていきましょう。

 

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この記事を書いた著者

高橋ともえ
ceresmomを主宰する管理人・高橋ともえです。学生時代からドイツ語圏と深いかかわりを持ち、オーガニックコスメと出会い、オーガニックコスメのサイトなどの情報発信を行う。2014年「四気質の治療学」の翻訳出版。2015年第一子を妊娠出産。JOCA(日本オーガニックコスメ協会)認定オーガニックコスメアドバイザー。私生活では、江戸時代から続く近江商人の末裔の婚家の築100年の滋賀県の古民家を拠点に、お灸やハーブ、薬草やジビエなど田舎暮らしを楽しむ生活をしている。詳細なプロフィールはこちらから。

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