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本物のオーガニック?偽物のオーガニック?だまされた?不毛な議論を超えるために必要なたったひとつのシンプルな解決法

本物のオーガニック?偽物のオーガニック?だまされた?不毛な議論を超えるために必要なたったひとつのシンプルな解決法

様々なオーガニック製品を日々お試ししていると、よく見かけるキャッチコピーに「本物のオーガニック」というものがあります。また、「本物のオーガニック」があるということは、同時に「偽物のオーガニック」があるということにもなり、ときに「オーガニックと言いながら全然オーガニックではない!」と「だまされた」という感想や言葉も目にします。

2017年は、日本でも大人気のアメリカ系(しかし実際には資本や経営母体は日本人)のオーガニック系シャンプーのメーカーが、成分表記の偽造による自主回収を行ったりと、オーガニック業界でも色々とショックな出来事がありました。

そこで、この記事では、オーガニックにまつわる「本物」「偽物」「だまされた」という不毛な議論を超えるためのたったひとつのシンプルな解決法について書いていきたいと思います。

横文字のorganicと、カタカナ語のオーガニックは違う

そもそも、「本物のオーガニック」とは何なのでしょうか? 「本物」「偽物」「だまされた」という言葉を使う前に、「オーガニック」の定義をはっきりさせない限り、この不毛な議論は延々と続いていくように思います。

では、その「オーガニック」の定義について。オーガニックは横文字にするとorganicという英語です。ドイツ語やフランス語、スペイン語など西欧諸言語に対応する言葉があり、それ自体は単なる形容詞です。

しかし、欧米では、商品やサービスに対して使われる場合ある一定の認証があり、それを取得しているものだけしかorganicというラベルを付けることしかできない各種の制度があります。※ただし、国や認証機関によってそのオーガニック基準の中身は異なります。

一方、カタカナのオーガニック、つまり日本語のオーガニックは、欧米の事情とはまったく異なる形で使われています。たとえば、あるメーカーにとってそれは、「エコサート認証を取得しているもの」という意味だったり、別のメーカーにとってそれは、「無農薬栽培の原料を使用していること」という意味だったり、あるいは「一切の合成成分不使用」という意味だったりします。そして、中には明らかにオーガニックブームに便乗する意図なのか「1%オーガニックの植物エキスを使用している」ことだったりします。

なぜそうなるのかというと、日本では食品における有機JAS認証以外に、日本という国が定める認証制度がない(協会や一般団体が定めている認証制度はありますが、認知度・知名度ともに低いのが現状)だからです。

認証制度の是非についてや、どうして認証制度を取らないメーカーが存在するのかという事情についてはまた別記事で書いていきたいと思いますが、ここでは認証制度がないということのデメリットについて述べます。

それは、製品の中身や製法について消費者がメーカー側の誠意に依存せざるを得ないということです。まさにこのメーカー側の誠意に依存してしまうというデメリットが、冒頭にも書いた某シャンプーメーカーの自主回収事件であぶり出されたのではないでしょうか。

メーカーの謳い文句としてのオーガニックに惑わされるのではなく、本質を見るためにまず必要なのは知識を持つこと

私は、日本オーガニックコスメ協会のオーガニックコスメアドバイザーの資格を持っています。資格が欲しくてというよりも、オーガニックコスメや化粧品で使われている成分について体系的に学んでみたいと思って取得しました。その協会の勉強では、毎回レポートを提出するのですが、化粧品の全成分表記を読み解くための学びをしていきます。

日本では、2001年から化粧品の全成分表記制度がスタートしました。これによって、化粧品に使用されている成分を使用量の多い順に表記することが義務付けられています。※ただし医薬部外品はこの限りではなく、また、キャリーオーバー成分は表記義務がありませんので、メーカーに確認する必要はあります。

たとえば、オーガニックコスメと書いてあっても、実際には石油由来の合成成分が使われているものもあります。それは消費者をだまそうとしてそうなっているわけではなく、オーガニック認証によっては一部の石油由来成分の使用が認められていることがあるからです(※詳しくは化粧品の基準に関する記事を御覧ください)。

特に、食品以外のオーガニック製品には一部ケミカルなものが使用されていることはとても多いのです。

ただし、知識に加えて自分の五感もしっかり信じよう!

こうやってコスメや食品のラベルの裏側が読めるようになると、それを基準に頭で選び始めてしまうと思います。そうなると、たとえば例のシャンプーメーカーさんの商品の成分偽造も、表記上はあたかもオーガニックっぽいからいいかも!と思って使ってしまいますよね。

実は、オーガニックといっても植物成分や処方は各ブランド・各製品ごとに様々違います。いくら良いものを使っていても自分に合うかどうかは別問題ですし、同じ名前・表記でも質は様々です。それなのに、「純粋な成分だけを使っているオーガニックだから」という理由だけで、自分に合わない・効果のないものを使い続けるというのも自分の身体の反応を見ていないことになります。それと、オーガニック食品やコスメは普通の食品やコスメよりも防腐剤がナチュラルなものや弱いものであることが多く、デリケートです。夏場などにコスメや食品を腐らせてしまうこともあったりしますが、それに気づかず使い続けている人も結構いますが、実は劣化したオーガニックコスメで炎症が起きたりすることもあるそうです。

そこで、知識だけではなく、自分の五感もしっかり信じる、ということをおすすめしたいと思います。

先日、フランスの食育がどのように行われているかという話を金丸弘美さんの本で読みました。それによると、知識先行の座学ではなく、一つ一つの食材の味や風味を感じ取って自分の言葉にする、つまり五感をフルに動員してそれを言語化する授業が行われているということが分かりました。

実は私は、20代の頃アロマセラピーを学んだのですが、コスメやマッサージやトリートメントではなく、自然香水を作る=調香でした。その先生はちょっとシャーマニックな感性の方で(日本人の男性です)、名前を伏せて香りを嗅いでその香りを言葉にしたり絵を描いたりするということをよくワークショップでやっていました。この学びのおかげで、知識先行ではなく、同じラベンダーでも種類やブランド、ロットが違えば香りが違うということが分かってきて、自分の感覚を信頼していくことに自信が持てたと思います。

とはいえ、ケミカルなものの中には五感を狂わせてしまうような作用を持つものや、ただちには反応が出ないというものもありますので、五感だけに頼るのもおすすめできません。だからこそ、知識によってオーガニックを選び取ることもやはり大切。知識と五感は、右手と左手のように相互になくてはならないものなのです。

選択権は消費者にある。知識+感性の両方を学んでマイ・ベスト・オーガニックに出会えるようになろう!

少し前までは、農薬や添加物などの情報はほとんど開示されておらず、消費者は国やメーカーの言うことを鵜呑みにするしか無い依存状態にありました。ある意味では、国が認めているものを信じ、それに従ってメーカーが製造したものを盲目的に信じて使っていました。

たとえば、化粧品はかつてメーカーの企業秘密ということ成分表記は任意でした。しかし今は全成分表記義務が課せられているので、何が入っているのかを知ることができるようになっています。実は気づかないだけで、消費者が選ぶことができるように制度が変更されていることは結構あるのです。

また、石油由来成分や石油にまつわる色々な産業のすべてが悪みたいな決めつけ方をしてしまうと、それもまたとても偏った見方になってしまいます。今後、ケミカルなものがどうやって生まれ何に使われてきたのかということや、石油に関する色々なお話もしていこうと思います。

大切なのは、オーガニックVSケミカルみたいな単純な二項対立ではなく、全体の中に両方を正しく位置づけて、バランスを取ることだと感じています。たとえていうと、代替医療と西洋医学という二項対立ではなく、どちらにも目配りできる統合医療のような感じがベストなのではないかと思うのです。

おそらく、私の子どもが大きくなる頃(今から10年~20年後くらい)には、オーガニックもどんどん浸透していき、ケミカルな世界や技術の世界にも大きな変化が起きていると思います。現にグリーンケミストリーといって環境負荷の低い化学物質を製造するための考え方も浸透してきています。

今後、このサイトでも分かる範囲でお伝えしていこうと思っていますが、こういったことは体系的に学ぶ必要があるのが現状ですので、いずれ講座やワークショップの企画も考えていますので、よかったらSNSなどを定期チェックしてください。

 

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この記事を書いた著者

高橋ともえ
ceresmomを主宰する管理人・高橋ともえです。学生時代からドイツ語圏と深いかかわりを持ち、オーガニックコスメと出会い、オーガニックコスメのサイトなどの情報発信を行う。2014年「四気質の治療学」の翻訳出版。2015年第一子を妊娠出産。JOCA(日本オーガニックコスメ協会)認定オーガニックコスメアドバイザー。私生活では、江戸時代から続く近江商人の末裔の婚家の築100年の滋賀県の古民家を拠点に、お灸やハーブ、薬草やジビエなど田舎暮らしを楽しむ生活をしている。詳細なプロフィールはこちらから。

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