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オーガニック的に「よくないもの」やケミカルなものとの付き合い方について

オーガニック的に「よくないもの」やケミカルなものとの付き合い方について

オーガニックに目覚めると、身の回りにある「よくないもの」やいわゆるケミカルなものを血眼になって探し、目の敵にして排除しまくる・・・そんな時期を経験する人もいるようです。
 
これは実際、私自身が経験したことです。私は一時期、オーガニックの厳格な基準に沿わないもの(衣類や化粧品)やオーガニックと言いながらケミカルな成分を使っているようなものはまがいものだ・価値がない、と思っていたこともあります。およそ5年ほど前のことです。

その当時の私は、2011年3月11日の東日本大震災の以降、生まれた町が原発20km圏内に指定され地図から消えるのではないかというショックな出来事をきっかけに、ドラスティックな人生の方向転換の時期を迎えていました。それまでの生き方を否定して新しい生き方に飛び込むために、「怒りや否定、排除」という強いエネルギーを必要としていたので、このような強い「NO」のエネルギーで様々なものを自分に合うものと合わないものに峻別しようとしていました。

その流れの中で再生可能エネルギーに関する仕事とドイツへ頻繁に出張する時期を経験し、その傍らオーガニックコスメの魅力を伝えるブログサイトを運営する日々が始まりました。

どちらの活動においても、動機は「今この現状を変えたい!」という強い「NO」のエネルギーでした。

原発大国日本を変えたい、そのためにドイツの再生可能エネルギー商材を日本に導入しよう。そして原発ムラを駆逐してやる!
ケミカルコスメは石油産業と結びついている。この石油産業が諸悪の根源であり世界を牛耳る悪の親玉だ。オーガニックコスメを推進することこそが、環境保全につながる!

こんな感じに思っていました。

しかし、実際に実情を知れば知るほど、自体はそれほど簡単な善悪二元論ではないということが分かってきました。

再生可能エネ関係のお話は割愛しますが、オーガニック業界の話に関して言うと、たとえばオーガニック的によくないもの、ケミカルなものを頭ごなしに否定する、という傾向は時に見受けられるように思います。
 
たとえば、ケミカルコスメと呼ばれている石油を精製することで出て来るナフサから作られた成分を使った化粧品があります(普通にドラッグストアや百貨店で販売されている化粧品全般です)。オーガニックに目覚めると、こうしたケミカルな成分は悪だし、そういうものを生み出した石油産業は悪だ、と考えてしまいます。

しかし、ケミカルコスメは、そのすべてではないにせよ、重篤な皮膚疾患の患者さんの治療のために使うべく開発されたものもあります。たとえば、自己免疫疾患を患っている方の場合、ピュアな植物エキスなどはかえってアレルギー反応を起こしてしまうことがあるからです。オーガニックは肌に優しく、ケミカルは肌に悪い、という単純な二項対立ではないのです。

つまり、薬として開発されたものなのに日用品として頻繁に使われるからこそ、ケミカルコスメは問題になるのであって、それ自体は、善でも悪でもないのです(もちろん、薬として時々使う程度におさえるべきものを日用品化して販売するという行為自体は経済至上主義的な悪意があるかもしれませんが)。同様のことが色々なものにも当てはまると思います。
 
あまりに時期が早すぎるものや、時代遅れのもの。
男性しか使ってはいけないものを、女性のも使ってしまうこと。
大人にはよいけれど、子どもには毒になるもの。

世界は、はっきりとした黒とはっきりとした白が存在しているわけではなく、様々に濃淡の違うグレーが存在しているだけで、それが時代の推移や見る人次第で、善にも悪にもなるのだと、感じています。

こんな風に思うようになったきっかけは、おそらく2015年の妊娠出産という経験でした。命の生まれる現場には、喜びや、感動、感激、美しさだけではなく、弱さや、脆さ、曖昧さ、残酷さ、無力さもありました。たくさんの喜びと悲しみの涙を見て、命という光が生まれてくるのはいつでも、闇の中からなのだと思いました。

この経験や、いくつかのショックな出来事を通じて、自分が思うよりも大きな理(ことわり)がこの宇宙を動かしているという謙虚さを少しは身につけられたように思います。

今の時代、段々とオーガニックや地球との共生、立場の異なる人々との共存など、これまでにない価値観がより支持される時代になってきています。

オーガニック好きな方はもちろん、不遇な時代を耐えてオーガニックのともしびを守り続けてきたメーカーや生産者さんに、スポットライトが当たる時代が来ていると感じています。

知識は武器になります。だからこそ、オーガニックの素晴らしさを知ると同時に、オーガニック的に「よくないもの」やケミカルなものに対してはよく背景を理解し、否定や排除のための攻撃ではなく、自分を守り避けるための盾として使いたいと思います。

そして、知識は愛にもなります。これまでマスメディアや大きな市場には乗らないけれど細々と信念をもって活動してきた企業、日の目を見なかった素晴らしい製品を、オーガニックの知識を持つことで、選ぶようになれます。

セレスマムでは、それゆえ、何をもってオーガニックと言うのかという大まかな基準を定めています。この基準は絶対的なものではないですが、この基準を参考にしながら、マイ・ベスト・オーガニックを見つけていただけたらと思っています。

 

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この記事を書いた著者

高橋ともえ
ceresmomを主宰する管理人・高橋ともえです。学生時代からドイツ語圏と深いかかわりを持ち、オーガニックコスメと出会い、オーガニックコスメのサイトなどの情報発信を行う。2014年「四気質の治療学」の翻訳出版。2015年第一子を妊娠出産。JOCA(日本オーガニックコスメ協会)認定オーガニックコスメアドバイザー。私生活では、江戸時代から続く近江商人の末裔の婚家の築100年の滋賀県の古民家を拠点に、お灸やハーブ、薬草やジビエなど田舎暮らしを楽しむ生活をしている。詳細なプロフィールはこちらから。

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