![自然農実践農家が教える!慣行栽培・有機栽培・自然栽培の違いとは?[中南米、パラグアイ]](https://ceresmom.jp/wp-content/uploads/2018/04/paraguay1.jpg)
こんにちは。パラグアイで自然栽培の農家を夫婦でやっているmarialightです。今日は、自然農実践農家という立場から、お野菜の慣行栽培、有機栽培、自然栽培の違いを説明していきたいと思います。少し専門的な話になりますが、「オーガニック」と一言で言っても、実は様々な農法のバリエーションがあるってご存知でしたか?
普段皆さんが口にしているお野菜はどのようにして育ったものなのか、私たち消費者自身もしっかりと勉強しておくことは、自分自身また子供や家族の健康を守る上でとても重要で決して無駄なことではありません。お野菜が育った環境、栽培した人の気持ち、それを調理してくれる人、そのお料理をどこで誰とどんな気持ちで食べるのか。日々の食べ物によって私たちの体は形づくられ、体だけではなく心へも影響があると考えられてます。日本でそして今はパラグアイで、長年地球にもまた体にも優しい農業をしてきた旦那に聞いて皆様にお伝えします。
この記事の目次
現在地球上で行われている3種類の農業 慣行栽培、有機栽培、自然栽培
まず、ぜひ知っておいていただきたい、農業のこれまでの流れをご紹介します。
現在の地上で行われている野菜の栽培方法は、大きく分けて3つあります。
- 化学肥料での栽培(慣行栽培)
- 有機肥料での栽培(有機栽培、オーガニック栽培)
- 自然農(自然栽培)
化学肥料での栽培(慣行栽培)の意外な誕生の経緯とは?
まずは化学肥料での栽培についてご説明します。
そもそもなぜ化学肥料を野菜の栽培で使うようになったのかご存知でしょうか?
実はこんな逸話があります。
第二次世界大戦中に、ナチスドイツが硫安(爆弾の材料)を飛行機に積んでフランス上空を飛行していると撃墜されてしまい、そのままフランスの畑にその硫安がばら撒かれてしまいました。
その後、どういうわけかその畑の作物の生育がとても良くなりました。それはなぜなのか研究した結果、植物は無機物(二酸化炭素など簡単な炭素化合物と,水や金属などのように炭素以外の元素で構成されている化合物)を根っこから吸い取るということが分かったのです。
この出来事がきっかけでこの硫安は窒素肥料として、また化学肥料が野菜の栽培に使われるようになりました。つまり、化学肥料の栽培とは爆弾の材料を撒いていることと同じということなのです。
このやり方は慣行栽培と呼ばれるように、現在一般的に地上で広がっている野菜の栽培方法です。
有機栽培(オーガニック栽培)とはどういうものか?
次に有機栽培についてご説明します。
この有機栽培では、有機物(炭水化物,タンパク質,脂肪などのように,生物の体内でつくり出される物質)を畑に施します。しかし、植物は有機物を直接吸い取ることが出来ません。そこで植物は無機物しか吸い取らないからいくら有機物をやっても吸い取らないという若干の議論が沸き起こります。
しかし、今はこういった知識は、研究者だけでなく一般の農家の人の中にも大学の先生並の大先生が沢山存在しています。その方々が土の中に微生物が存在していることに気づき、植物は有機物を直接吸い取らないけれど、その微生物が有機物を無機化にして植物に吸い取らせるという役目をしていたということが分かりました。これにより有機栽培の理論が成り立ちました。
慣行栽培優勢な時代に、なぜ有機栽培が出てきたor盛り上がってきた?
ではなぜ、化学肥料栽培に対抗する形で有機肥料栽培がでてきたのでしょうか?
実は、化学肥料だけを施した畑では無機物しか施していないので土がだんだんとダメになっていきます。
ここで農業というのはただ作物を作ればいいというのではなく、土を守るということが大切だという理論が出てきました。
さらに、化学肥料だけをやった作物に何の栄養があるんだ、有機物ならば土に栄養を与えることが出来て土が死なない、植物が微生物によって有機物を無機化されたものを吸い取るのだから、有機栽培のほうが正しいのだという議論も沸き起こりました。
しかし、未だに有機物を畑に施しても植物にはたいして効果がないといっている実践派の方々がいます。実践派なので技術はすばらしいのですが学問としてはレベルが上がってゆきません。
今までは大学を出た人は農業なんて継がない、農業をやるなんてもったいないというのがありましたが、最近は大学を出た多くの人たちが農業をやってみたいというようになり、徐々に理論を確立し、農業を携わる人の中で学識のある人たちが増えていきました。
その人たちは何か違う農法があるのでは?というとこで、水耕栽培がでてきました。今ではこの水耕栽培はかなり最先端の農業として捉えられており、肥料は固形物ではなく液肥というものを作物に与えます。化学肥料から液肥を作る人もいれば、有機物から液肥を作る人もいます。今は水耕栽培の野菜としかいいませんが、これからは化学肥料の水耕栽培野菜です、もしくは有機肥料の水耕栽培です、という商品が出てくるかもしれません。
有機栽培とも違う自然栽培(自然農)とは? 福岡正信、川口由一、木村秋則
しかし、水耕栽培の話で一石を投じたのが、「自然農法 わら一本の革命」の著者である四国の福岡正信さんでした。
福岡正信さんは、自然農を世界で初めて提唱し、自然農の元祖となります。それをみて影響され自然農を国際化していったのが、赤目自然農塾というのをひらいている奈良の川口由一さん。彼はドイツへ行き耕さない農法で無農薬の資格を取り有名になりました。
主にこのお二人が日本の自然農の大家と考えられています。
福岡さんの理論は、人間が肥料を与えなくても自然に雑草などが肥料になり、作物へ栄養がいきわたるという考え方をします。ところが、雑草が肥料になるまでなんと5年以上かかってしまいます。そこで考えたのが、土を団子状にしてその中に数種類の種を入れ畑にばら撒くと、その土地にあったものだけが芽を出すという方法です。
また、今日有名で映画化もされた「奇跡のりんご」の木村秋則さんも自然農をやられています。自然農は現代の学問の理論とは異なる量子論の世界があります。今の学問がついていくことができず、なかなか広がらず、本当なのかな、不思議だな、と残念ながら一般の方の理解ができていません。
以上が、現在地上で見られるの3つの農業(農法)のおおまかな実態になります。
有機栽培(オーガニック栽培)なら体に良くて安全? 私達夫婦が有機栽培ではなく自然農(自然栽培)を行う理由とは?
さて、ここからが私達自然農実践農家の私論になります。
皆さんは、一般的に有機栽培は無条件に体にいいものだ安心だと思っていませんか?
実は、有機栽培だからすなわち無農薬であるとは限りません。例えば、魚かすは窒素肥料として使われますが、これはどうなのでしょうか。今では日本の陸だけでなく海、魚も放射性物質に汚染されていると言われています。だけれど、この世の中は絶対に物は無駄にしないという金の世界。そうなると汚染されていようが何であろうがそういう魚は肥料にしてしまえば分からないだろうということに。なので魚かすは使えないと思っています。
次に、燐酸肥料として骨粉が使われています。これは一般的にホームセンターでも売られていますのでご存知の方も多いかと思いますが、この骨粉自体に狂牛病(BSE)が入っているのではという不確定な問題になっています。
また、窒素肥料として主に米ぬか、菜種粕、大豆粕を使います。しかし、この大豆は今やほとんどが遺伝子組み換えであり、お米も遺伝子組み換えがでてきています。堆肥で良く使われるのは牛糞と鶏糞ですが、さまざまなワクチンや成長ホルモンを接種しますので、そのまま糞としても出てきます。よっておかされた肥料となり、植物はそのまま根から吸収してしまいますので植物に入ります。
ちなみに、パラグアイの女の子で小学校4年生くらいで日本人の大人並の胸になっており、鶏肉や牛肉などを毎日のように食べるのでホルモン剤の影響だろうと言われています。あんなに体が早く発達するのは異常で、堆肥として使うのも良くないと考え、私達夫婦は自然栽培(自然農)をやるようになりました。
残念ながら、化学肥料、有機栽培も堆肥なども今の時代は何が入っているか分かりません。それならば、自然に落ちる葉っぱを堆肥として使うのが正しいのではということになっていきました。自然農は雑草を切り落ち葉を集めて積んで堆肥にします。
でもこれを街中でやると草ぼうぼうにするのが悪いと非難轟々なので気をつけてください。この堆肥の作り方を厳しく教える先生がいらっしゃいますが、基本的に雑草や葉っぱを積んで水をかけておけば自然と堆肥になっています。空気中には乳酸菌などの菌が浮遊しておりそれが堆肥に入り、うまくいくと真っ白な麹菌が見れるでしょう。それを土に入れて作物をつくります。
出来上がった雑草や葉っぱの堆肥は、中を掘り返すとこのように真っ白な麹菌でいっぱいです。これがとってもいいのです。
これから自然栽培にチャレンジしてみたい方へのアドバイス
これから何か作物を作る時には、図書館へ行ってみてください。
例えばナスを作りたいと思ったら、ナスの栽培方法を片っ端から本で調べてみると、著者は違うのにほぼ同じことが書かれています。誰かが書いたことを丸写ししただけなのですね。農業は何も進歩していないことが分かります。
この本の中で必ず決まり文句のようにカルシウム、石灰をやってくださいと書いてあります。ところが、カルシウムは人間の体へ直接吸収されないという研究結果がでているにもかかわらず、その意見を無視してカルシウム摂取のために骨になるんだから牛乳を飲め魚を食べろと要求されます。
なぜなら、体のためではなく企業のお金になるからなのです。
木村秋則さんもおっしゃっていますが実は葉っぱの中にもカルシウムは存在しています。これは私も同じ意見で、カルシウムは普通に木の葉に含まれています。とりわけ大きな葉の中にわりと多くのカルシウムが含まれています。そして、若干葉が硬いものはカルシウムが多いから葉が硬くなっていくと思っています。それが本来のカルシウムであり、作物や人間が栄養源にできるカルシウムです。
しかし、今主流の農業では石灰、カニ殻、カキ殻を直接土へ施していますがほとんど無駄でしょう。むしろその石灰が残留し、土がプラス化になり病気の元になっていきます。病気になるから農薬をかける、この繰り返しがおこうにり永遠と続いていきます。
人間にも同じことが言えます。土や体にいる微生物は農薬や排気ガスなどで死んでしまいます。有機肥料などをいくら施しても、微生物が存在しなければ養分は作物へ送られません。そこに農薬をかけてしまうと大切な菌が死んでしまいます。病気の元を考えなければいくら薬をやっても永遠と病気はなくなりません。
以上、現在地上で行われている野菜の栽培方法をざっと説明させていただきました。
何を肥料として使うのか、農薬は使うのか使わないのかによって栽培法が変わります。そして、育てられた植物は、それらを素直に吸収してしまいますので、その物質が入ったものを私たちが口にすることになります。
見かけはどの野菜も変わらないようでも野菜の成分や味は変わってきます。ほんとうにパワーのある野菜、私たちの体や地球が喜ぶお野菜とはどのようなものでしょうか? お野菜の見た目が綺麗で大きければいいのでしょうか?
この記事によって、少し考えるきっかけを提供できましたら幸いです。
次回以降の記事では、もっと実践的な話もご紹介していきますね。
※この記事に興味がある方は、ミャンマーでオーガニック栽培を実践しているhanaさんがレクチャーする、オーガニック野菜の正しい選び方についてもあわせてチェックしてみてください。
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