
オーガニック好きの方、特にオーガニックコスメ好きの方の中には、石油産業はだめ!とか、石油産業は悪!みたいなことを考えている方もいるかもしれません。そして、石油は国際的な大企業が搾取的な仕組みの中で莫大な利益を得ていて、石油系コスメもその一端を担っているからだめ!みたいなことを考えている方もいるかもしれません。(実は私も以前はそう思っていました)
しかし、このような国際的大企業による寡占ビジネスは、実は欧米のケースに当てはまることであり、戦後日本の石油産業の歴史を見ていくと、そんな簡単なことはまったく言えない!ということがわかります。そして、欧米とは違う日本独自の立場もある、ということが見えてきます。
それどころか、戦後の日本の復興と石油産業の話は、実はこれからの新しい時代のオーガニックシフトにおいて、我々現代の日本人が見習うべき姿勢やポイントがあるということも見えてくると私は感じています。
オーガニックの世界ではとかく「悪」として扱われることの多い石油産業ですが、本当に日本人が日本独自のオーガニックを根付かせていくためにも、今一度正しい姿を知るり、今後に活かしていくべきだと感じています。
日本の経済的自立と復興には石油産業の出光の力が大きい 「海賊とよばれた男」に見る
ところで皆さんは、映画にもなった「海賊とよばれた男」はご覧になっていますか? 主人公の出光創業者の生き様や社員たちの志がとても素晴らしい作品ですが、この作品を読むと、日本における石油産業が、欧米の大企業による利権と支配構造とはちょっと違う形で生まれ、発展したということが垣間見えてきます。Kindleで漫画版も販売されていますので、お時間があれば是非読んでいただきたいです。
この本の中で興味深かったのが、戦後日本を経済的に支配しようとする国際的石油大企業(メジャー)の抑圧を避けて石油を調達しようとした出光が、メジャーの1つであるイギリスのアングロ・イラニアンという石油会社から独立しようとしているイランからのオファーを受けて、イランから直接石油を買い付けるのに成功するというシーンがあったことです。
イランは、戦前の列強による植民地支配の時代、イギリスとかなり不平等な約束を結んで石油からの利益を搾取されてきました。それが、戦後独立して石油産業を国営にしようとしたところ、経済制裁を受けるなど非常に困窮した時期が続いていたのです。それを見かねてあるイラン人が日本の出光に直接取り引きをもちかけたのでした。
危険をおかしてイランからの石油を持ち帰った出光は、その後、国内トップの石油企業の1つとなり、日本の経済発展に必要だった石油(エネルギー)の調達に尽力します。これは、日本における石油調達が、欧米が造った搾取的な経済構造とは違う形で興ったということを示しています(※実際には、イランとの直接取引は裏で欧米が糸を引いていたイランの政変で1年半しか続かず、結局アメリカ経由での石油調達になってしまったのですが)
この出来事によって日本は、世界から一目置かれる存在になったのでした。世界、特にアメリカは、日本は手強い相手だと認識し敬意を払いましたし、宗教上欧米諸国とは相容れない歴史を持つイランを始めとするイスラム圏(日本ではあまり注目されていませんが今後世界の人口の1位を占める大きな文化圏になります)は、日本に対して極めて好意的になっていきます。
そしてこのことによって(出光の存在だけではないですが)、今の日本の経済発展の礎が築かれたことは間違いありません。エネルギー問題が解決されなければ、すべての産業が発展できなかったであろうからです。
環境問題や石油系成分による様々な弊害はあったものの、石油産業がなかったら、今ここまで豊かな生活はできません。また、これからも石油から作られたプラスチック製品や、薬・化粧品は一定の需要を持つものだと感じています。
3.11のあとのオーガニックシフトは、戦後の石油産業と日本の復興に学ぶところが大きい
そして今、この戦後の時代から約70年が経過し、3.11が起きました。御存知の通り原発事故の影響を受けて、日本では再生可能エネルギー産業を推進するための諸制度を国が整え始めています。ある意味で日本は国難の時代であり、まるで戦後や、もっと遡ると明治維新の時代の状況と似た時代になっています。
私がしている仕事の中で見聞きすることをまとめると、国際的に再生可能エネルギーへのシフトが進む中、日本企業も再生可能エネルギーに取り組まなければ国際的な活動ができなくなるかもしれないと言われています。再生可能エネルギーとオーガニックは持続可能性や石油系成分不使用の理念において共通していますので、当然オーガニックシフトが進んでいかざるを得ないということです。
こちらの子供向けの動画が分かりやすくエネルギーの歴史と今後の流れをまとめていますのでよかったら御覧ください。
動画の後半部分を御覧いただきたいのですが、RE100という再生可能エネルギー100%にしようとするプロジェクトも先進国主導で起きてきているのです。
まさに、国を挙げて取り組まなければならないエネルギーシフト、そしてオーガニックシフトが迫っているということです。
そして、大きな経済発展を遂げていながら、オーガニック後進国と言われる日本というマーケットに、欧米の価格競争力のあるオーガニック産業がどんどん参入してくる時代がやってきています。その時日本の産業は、どうなるのでしょうか?
ちょうど、「海賊とよばれた男」と同じように、日本の国、日本の産業全体が、海外の支配下に入る形でオーガニックシフトをするのか、それとも独自の存在感と自立性を持てるのか? その瀬戸際が来ていると感じています。
そして、前回のコラムでも書きましたが、多くの大衆が思うほど国や政府や官僚がこの事態を手をこまねいて見ているわけではないというのも知っていただきたいです。水面下でも多くのプロジェクトが進行中ですし、既に地方では成功事例が生まれつつあります。
再生可能エネルギー産業、そしてオーガニック産業に投資することは希望!
国策レベルの話は日常生活からかけ離れている用に思われるかもしれませんが、ママ・プレママが一消費者の立場として何ができるか?という話をしていきます。
再生可能エネルギー産業、そしてオーガニック産業に投資することが一つの答えだと思います。それが本当に日本の国を、国益レベルで支えることです。子どもを育てるように、これらの産業にお金を使うことで産業が成長していきます。
たとえば、地産地消型の経済であることが望ましい日々食卓にのぼる食品・野菜はオーガニックのものを買うことをはじめてみるのもおすすめです。
※オーガニック野菜のメルカリ「食べチョク」ならオーガニック農家さんから新鮮な野菜を最短当日で購入できます。
その他、日本で生産された国産材料を使用したオーガニックコスメブランドを応援することもおすすめです。
また、このサイトでは、国産オーガニックブランドの製品を多数ご紹介していますので、是非チェックしていただき、マイ・ベスト・オーガニックに出会っていただけたらと思います。そしてそれこそが、日本の国を底から元気にすることだと感じてほしいです。
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