
私はこれまでに2冊のドイツ語圏の本の翻訳をしているのですが、その仕事の過程で親友でありメンターであるというような、御年75歳(!)のドイツ人の出版エージェントの女性と知り合いになりました。彼女とは、今でもメールでやりとりをしたり、プレゼントを贈り合ったりしています。
先日その彼女から、日本の森林浴の本をめぐって欧米の出版業界で熾烈な版権争いが繰り広げられているよ!という話を聞きました。彼女が送ってくれた本のブックカバーを見ると、Shinrin-YokuとかShinrinyokuと書かれています。Amazon.comなどで見ると森林浴関連の精油やDVDなどが販売されていることを知りました。
そして、今版権争いが熾烈に繰り広げられているという本がこちら。日本の森林浴の権威である千葉大学の宮﨑良文氏の著書です。ただ単に気持ちいいというレベルではなく医学・科学の見地から様々なデータを用いて森林浴がストレス軽減に貢献するということを明らかにした名著です。
※日本語版はこちらです:
森林浴はなぜ体にいいか 宮﨑良文
そう、SUSHIとかBENTOとかの次に欧米でブームになっているのが、日本流の森林浴なのだそうです。
日本は国土の70%が森林で、しかもその森林が山と密接に関わっています。いわゆる里山ですね。私は生まれたのは福島県ですが育ったのは東京目黒なので、だだっ広い関東平野が子どもの頃の見慣れた風景でした。ところが、この東京的な風景って一種特殊なもので、日本のほとんどの場所で山が身近に見えるのが普通なんですよね。
今住んでいる岐阜県は林業が盛んということもあり、また、森のようちえんで有名な教授が岐阜大学にいらっしゃることもあり、森や山はとても身近です。歩いて10分くらいのところに金華山という山もあります。
でも、山や森が身近であるという環境は、日本の特殊な環境なんだと思います。ある意味では恵まれているんですよね。世界を見渡すと、国土が狭かったり、森林がほとんどなかったり、森林が居住圏から遠かったりする地域もありますから。ちなみに同じく国土の70%が森林というドイツでは、森林は身近なものではありますけれど、日本の森林と違って山と密接に結びついているわけではありません。なだらかな丘が続く風景の中に、ぽこっ、ぽこっと整備された林がある、というのがドイツのほとんどの森林です(一部、シュヴァルツバルトとか北東部の地域とかに原初の森に近いものが残っているケースもありますが)。
当サイト(セレスマム)は、オーガニックを身近に、ということで、主に都会の方々向けに商品やブランドのご紹介をするウェブマガジンですが、本当にオーガニックを身近に感じる体験をしたかったら、近所の里山の中に出かけてみるのが一番かなと思います。宮﨑良文氏も、「my favourite 森」を作って足繁く通うことをすすめています。
子育て中のママに関して言うと、ママ自身のリラックスはもちろん、子どもの免疫力をUPさせるには森や自然の中を少し過呼吸気味になるくらい運動させることで薬要らずの子育てができるのではないかと思います。
ちなみに、ドイツ人の出版エージェントの女性には、オークビレッジの稲本さんが作ったyuicaという日本の森林の木の精油をプレゼントしたことがあるのですが、とても好評でした。森が身近にないという方は、こういう精油で日本の森を感じてみてもいいかもしれません。
日本はまだまだオーガニック後進国ではあるのですが、足元にとても貴重な宝が顧みられることなく落ちているのかもしれません。今流行のインバウンド観光とかAirbnbとかも、「森林浴=Shinrinyoku」をキーワードにすることで活性化する地域も出てきそうだなと思います。地方在住の主婦で仕事がなくて・・・とか、オーガニックに関わる仕事をしたくて・・・というご相談を受けることがあるのですが、競合がたくさんいるアロマサロンの経営とかよりも、古民家を活用したAirbnbで外国人向けの森林浴ツアーとかを企画してみるとか、そういう方法もあるのではないかと思います。
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