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オーガニックの世界史

この記事の目次

オーガニックの歴史

前回の記事(オーガニックの定義)でも説明したように、オーガニックというコンセプトは有機農業の歴史と分かちがたく結びついています。この記事では、オーガニックの歴史=有機農業の歴史について国際的な視野から振り返ってみます。
※参考資料 Organic 3.0: IFOAM(英語)

19世紀後半~20世紀前半:有機農業のパイオニアの時代(Organic 1.0)

19世紀後半~20世紀前半、当時徐々に広まりつつ合った化学肥料・農薬を使用した農業の興隆とその問題に気づいた人々が世界中で同時に活動をはじめました。中でも、最も重要なのは、1924年6月当時ドイツ領であったポーランドのある村(Koberwitz)に有機農業に携わる人々が集ったことでした。この集いには、日本でも有名なルドルフ・シュタイナーが参加しており、その集いで彼が行った講義は「農業講座」として知られており、バイオダイナミック農法の基礎となっています。

IFOAM(国際有機農業連盟)ではさらに、当時世界中で様々な人々が有機農業のアイデアを提唱しはじめたことを指摘し、これらの人々をパイオニアと呼んでいます。それらパイオニアの中には、上記のルドルフ・シュタイナーに加えて、日本の福岡正信も挙げられています(参考記事:Pioneers:IFOAM(英語))。

1970年代:パイオニアたちの理論が体系化され法制度化された時代(Organic 2.0)

1965年、アメリカで農薬DDTの危険性を指摘したレイチェル・カーソンの「沈黙の春」をきっかけに世界中で農薬や化学肥料に対する反対運動が起き、有機農業の機運が高まりました。同時に、各国での連携や科学的なデータを集める必要性などから、1972年パリにてIFOAM(国際有機連盟)がLady Eve Balfourの呼びかけで設立されました(IFOAMは現在ボンにあります)。

IFOAMはやがて、有機農業の国連と言われるほどに成長し、世界各国(87国)をボーダレスにつないぐ強力な組織となり、主に先進国を中心に大学等の研究団体や国レベルので政策決定・認証制度などに大きな影響を与えてています。

2017年~:オーガニックの世界をニッチマーケットからメインストリームへ(Organic 3.0)

現在オーガニックは、まだまだニッチマーケットでしかありません(オーガニック認証を取得した有機農産物は全農産物のわずか1.0%しかありません)。このオーガニックを、地球が直面している膨大な問題を解決するための解決策の一部としていこうという動きがIFOAMによって提唱されています。

たとえば、Organic 2.0で提唱された認証システムは以下の3つの限界があります。まず、主に途上国で小規模の認証を取得していないオーガニック農業を営む農家(特に女性たち)が排除されてしまいます。次に、有機農業と問題意識を共有しているが必ずしもIFOAMで定めるオーガニックの認証を満たしていない関連分野との連携が手薄になっています。たとえば、アグロエコロジー、フェアトレード、フードムーブメント、小規模・家族経営農業運動、CSA(コミュニティーサポート型農業)、アーバンアグリカルチャー(都市型農業)などです。さらに、経済的なプレッシャーから有機農業で望ましいとされている多様性の原理やその他の実践を捨てて単一栽培を行う農家が増えていることです。

こうした問題を踏まえて、今IFOAMでは、本当に(真に)サステナブル(持続可能)な有機農業へと進化していくべくオーガニックが新しいフェーズに入ったということを宣言しています。

 

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