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フランスで35歳で無痛分娩 Gray Rabbitさんの体験談 [ナチュラルなお産 私の体験談]

フランスで35歳で無痛分娩 Gray Rabbitさんの体験談 [ナチュラルなお産 私の体験談]
セレスマムでは、「ナチュラルなお産 私の体験談」コーナーで、セレスマムのライターさんをはじめ、様々な方の通常の病院での出産以外の出産体験をご紹介しています。メインは、自宅出産や水中出産、助産院での医療介入のない出産体験談や、両方の出産を体験した方の体験談になります。
ただし、出産はどの出産であっても尊い奇跡であり、いわゆるナチュラルなお産をすることとオーガニックはイコールではありません(オーガニックについてはオーガニックの定義オーガニックの基準をお読みください)。
帝王切開やいわゆる普通の病院での分娩もまた神聖で貴重な経験であるとセレスマムでは考えており、お産に対しては一切の良否の判断を行いません。体験談の文章中の見解は、あくまでライターさんの個人の体験に基づく見解であることをご了承ください。
Gray Rabbitさん プロフィール
フランス在住15年の兼業主婦です。地方都市で5歳の息子と11歳の娘の年の差育児中です。息子は乳糖不耐、娘と私はひどい花粉症なので、対処療法ではなく、ホメオパシーやオステオパシーなどを使った体質改善や予防を心がけています。フランスは給食のアレルギー対応がないので、息子は給食の代わりにお弁当持参。日本と違って、前菜・メインディッシュ・チーズ・デザートのコースなので、給食の献立を参考に牛乳と牛乳製品を避けたお弁当作りに日々はげんでいます。出産は2人ともフランスで主流の無痛分娩で、下の子のときには不妊治療も経験しました。日本とはかなり違うフランスの出産事情をご紹介できたらと思います。
[35歳で第一子をフランスで無痛分娩出産、41歳で第二子をフランスで無痛分娩で出産]
※今回はナチュラルなお産というテーマからは外れますが、フランスで無痛分娩を体験したGray Rabbitさんの体験談を掲載します。

フランスで第一子を妊娠。日本とかなり違う妊娠・出産ライフスタート 産後の体力温存のために無痛分娩を選択

娘の妊娠に気づいたのは、ちょうどクリスマスのころでした。フランスの妊娠期間の数え方は、日本と少し異なります。最終月経から受精日を予測し、そこから1か月、2か月と数え、受精予想日から9か月後が予定日、最終月経から41週後が予定日になります。またエコーも3回のみ、日本式の3か月、5か月、8か月にしかありません(以下、ややこしいので、数え方は日本式に統一します)。後は内診のみです。

私の主治医になった婦人科医はおばあちゃん先生で、豪快で大ざっぱだけれど、安心させてくれる先生でした。お産をお願いすると、先生が提携している2軒の病院を紹介され、自宅から近い病院に4か月のときに予約を入れました。

日本でもフランスでも周囲より遅めの妊娠・出産だったので、無痛分娩と普通分娩のメリット・デメリットについては、かなり情報があったほうだと思います。無痛分娩で麻酔が効きすぎて、結局吸引された、助産師さんがお腹に馬乗りになって押したので、硬膜外麻酔の針が抜けた、などという話も聞きましたし、無痛にしなかったために陣痛で疲れ果ててしまっていきむ力が残らず、鉗子を使ったという知人もいます。体力も温存できるし、医療スタッフも一番慣れているだろうと思い、無痛分娩に決めました。

つわりもほぼ治まって、5か月に入ったと思ったころ、急に夜に強い生理痛のような痛みで目が覚めました。おなかがかたくなって、40秒ほどの痛みが10分間隔で来たので、流産するかもしれないと血の気が引きました。夫を起こすか迷いましたが、幸い4,5回で痛みは治まり、出血もなかったので、その夜はそのまま眠って、翌日主治医に診てもらいました。子宮口が少し開きかけて、子宮収縮もありとのことで、それから1か月、張り止めの薬を飲みながら、トイレ以外はできるだけ横になる生活を送りました。体調がよくなったので、うれしくて動きすぎたのかもしれません。

7か月から助産師による出産準備コースが始まりました。理論が3回、実践が5回の計8回。産後の夫婦関係、などという日もあり、この日は夫(あるいは事実婚のパートナー)も必ず参加するように、と言われました。

実践の1回目は、陣痛が始まったときの対処法。バカンスのために誘発することは考えないように、と厳重に注意されました。産婦自身ではなく、産婦の親がバカンスに出発する前に孫の顔を見せるために誘発、というのがフランスでは珍しくないそうです。その他には、37週以降は1時間以上の車の運転は避ける、陣痛が始まっても、40秒の陣痛が5分間隔になるまでは自宅待機、逆に予定日になっても兆候がなければ、病院で医師に診てもらう、など基本的なことでしたが、日本の出産ガイドとは違うことも少なくなかったので、受けておいてよかったです。

実践の2回目は、自宅待機中に陣痛を逃がすための呼吸法の練習や、破水した場合の対処法、麻酔の説明などがありました。フランスではタトゥーを入れている人が少なからずいて、腰にタトゥーに入れている人は、顔料が注射と一緒に中に入ってしまう危険があるので、硬膜外麻酔はできないそうです。その他、麻酔の注射をする際の姿勢、効かない場合は、効きの弱い方の半身を下側にして横になる、それでも聞かなければ麻酔の量を増やしてもらう、どうしても効かない人が20パーセントもいる、などの説明がありました。

3回目は分娩室の見学で、夫も参加しました。夜間入口から産科棟までの通路、分娩室に入るときは術着をはおり、靴カバーをつけることなど、出産当日にあわてて忘れてしまいそうなことも、細かく教えてくれました。
実践編残りの2回は、ヨガや呼吸法の練習をしました。

理論編では、赤ちゃんが産道を出てくるメカニズム、産後の体、夫婦関係についてなどでした。日本であれば恐らく時間をかけて説明を受けであろう、授乳については、「無理に授乳しなくていいけれど、初乳だけはあげてくださいね」と言われただけ。準備クラスに参加していた10人ほどのうち、授乳するつもりでいたのは、私の他に1人いただけでした。

毎月の検診では、着衣・靴履きのままの体重測定と聴診器、簡単な内診のほかは何もなく、バースプランを作る指示もとくにありませんでした。一応、体力温存のために無痛分娩と、会陰切開はできれば避けたいとだけ伝えたのですが、なるようにしかならないから、と一笑されました。

いよいよフランスで無痛分娩で出産! なんと、先生がバカンスで誘発をすすめられる・・・

出産は破水で始まりました。朝に主治医の検診の予約があり、内診で「もう2,3㎝開いてるから、明日明後日には生まれそうだけど、私は月曜からバカンスだし、誘発しましょうか」と言われ、「念のためにちょっと広げておきましょう」とガリガリと引っかかれました。痛くて涙が出そうになった私に、「じゃあ明日ね」と先生。まさか、先生のバカンスのために誘発を勧められるとは思いませんでした。

帰宅後、入院の荷物を確認したり、ベビーベッドのシーツにアイロンをかけたりしていたら、夕方に急に水が落ちる感触がしました。破水したと気づき、夫を急いで呼んでから、私はシャワーを浴びて、病院に向かいました。

救急入口から中に入り、破水したことを伝えると、すぐに助産師さんが迎えに来て、産科棟に入り、内診で子宮口も3,4㎝開いており、陣痛も定期的にあったので、そのまま分娩室へ、10分後には麻酔医が到着、すぐに硬膜外麻酔のための麻酔を打たれました。

陣痛があっても痛みは感じていなかったので、麻酔の効果はあまりわかりませんでした。入院が午後8時ごろ、初産だから生まれるのは明け方だろうから、休めるうちにしっかり休むように、と助言され、私は体力温存のために眠りました。手持無沙汰の夫は分娩室でコーヒーを飲み、菓子パンを食べていたそうです。

23時30分、突然助産師さんに「全開よ!起きて。」と起こされました。半分寝ぼけていたところに「もうおりてきているから、産科の先生が到着するまで、絶対いきまないでね」と言われ、一気に目が覚めました。さらに10分ほどで主治医が到着、「次に陣痛が来たら、いきんで」と言われました。麻酔のおかげで痛みは全くないけれど、子宮の収縮は感じることができたので、収縮に合わせて3回ほどいきんだところで、止められ、数秒後、泣き声が聞こえ、体を起こして、そのまま自分で娘を取り上げて、胸の上に置きました。夫は主治医にはさみを渡され、胎盤を切って、助産師さんが「23:48」と時間を確認、助産師さんが娘の身長・体重の確認をして、きれいに体をふいてくれている間、私はざっくり切られた会陰の処置を受けました。
2時間のカンガルーケアの後、真夜中の2時ごろ病室に連れて行ってもらいました。

病室は一人部屋ではあったけれど、夫が寝るほどの広さはなかったので、夫は帰宅。実家に無事に生まれたと電話で報告して、寝ようとしたけれど、目が冴えてしまって眠れませんでした。

無痛分娩のお蔭で、出産後も疲れは感じませんでした。土曜日の朝に主治医が回診に来て、授乳で不安があったら相談するように、とレチェリーグの電話番号を教えてくれただけで、指導などはありませんでした。

金曜深夜の出産で、水曜日には退院でした。退院して、まず洗濯をしたのですが、自宅が3階建てで、洗濯機が1階、干すのが3階だったため、階段を何度も上り下りしていたら、腰が急に痛くなり、歩けなくなりました。日本から送ってもらった、産後用のガードルとベルトをしたら、なんとか治まったのですが、フランスではガードルもベルトも、見たことがありません。お産で骨盤が開くのはアジア人もヨーロッパ人も同じだと思うのですが、何もしなくて大丈夫なのか、不思議です。

フランスでは妊婦健診はもちろん、産後の骨盤底筋と腹筋のリハビリも保険でカバーされます。出産後1か月で主治医のところに産後検診に行き、尿漏れがひどかったので、骨盤底筋のリハビリの処方箋をもらい、紹介された助産師さんに連絡を取りました。骨盤低筋のリハビリはタンポンのような器具を膣に入れて、電気ショックをあたえて筋肉を鍛えるものと、昔ながらに助産師さんが(もちろん手袋をして)膣内に指を入れて、上下、横、と動かす筋肉を指示しながらするものがあります。

長女のときに紹介された助産師さんは前者で、びりびりと痛い電気ショックに耐えた割には、あまり効果があったとは思えませんでした。また、娘が泣くと、イライラしたり、露骨に嫌な顔をされたりしたので、終わったときは本当にホッとしました。骨盤底筋だけでもストレスだったので、腹筋のリハビリはパスしてしまったのですが、こちらもきちんとしておけばよかったと息子の出産後に気づくことになりました。

※Gray Rabittさんが第2子を不妊治療を経て出産した体験談はこちらから読めます。

※その他のオーガニック・ナチュラル派ママの出産体験談はこちらから読めます。

 

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この記事を書いた著者

セレスマム編集部
オーガニック・ナチュラル派ママのための妊娠・出産・子育て情報ウェブマガジン・セレスマム(ceres mom)の編集チームです。ママと子どもがマイ・ベストオーガニックライフを見つけるための場となれるよう、国内外の情報をもとにオーガニックの定義と基準を明らかにし、特定の健康法や流派に偏らない情報発信を心がけています。

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