![ミャンマーの有機農業事情と、私たちがミャンマーでオーガニックを重要視する理由とは?[東南アジア、ミャンマー]](https://ceresmom.jp/wp-content/uploads/2018/02/myanmaryuki.jpg)
私が住んでいるミャンマーのシャン州という場所は、農業するには気候がよく土地が豊かだと言われている地域。一年を通して温暖な気候で、インレー湖という表面積が43kmにも及ぶ湖が乾期の時の水不足を解消してくれています。
私はこのシャン州に移り住んできて4年目。今回は、なぜ私が有機農業の先生の夫とともにここで有機農業の実践をするにいたったのかをお伝えしたいと思います!
オーガニック・有機農業との出会い
私がオーガニックに関心を抱き始めたのは、大学生の頃にSNSでたまたま見かけた化学性物質の健康被害についてのインターネット記事を見たことがきっかけでした。
本来肌に塗るべきでない化粧品類、本来人体に入るべきではない食品添加物、人の身体に入れば健康被害が及ぶかもしれない野菜やその他生鮮食品に使われる農薬や成長ホルモン剤など。
知らないことばかりでした。
調べれば調べるほど怖い、化学性物質の弊害。当たり前に自分の周りにあふれていた化学性物質に疑問を抱くようになりました。
調べてみて知った驚愕の日本の農薬事情
できるだけ化学性物質に頼らないように、できるだけ自然と環境に優しいものを選ぶように心がけるようになっていきました。
そのなかでも、特に関心を持ったのがオーガニック農法(有機農法)でした。日本のスーパーに並ぶ野菜のほとんどが農薬まみれと言われています。
実は日本の農薬使用量は世界第3位。そして、野菜の生育時の農薬使用量の基準・農薬残留量の基準も世界から見ると圧倒的に甘いのです。
「なんとなく国産なら安心。」と思っている方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
日本の農薬規制は、2013年以降にEU全域で全面使用禁止されたあと、アメリカやカナダ、韓国などで次々に規制した毒性が非常に高いネオニコチノイド系農薬さえ規制していないと世界から非難をあびています。
害虫の神経麻痺を起こし害虫を殺すネオニコチノイド系農薬は、子どもの脳や神経の発達に障害を与える可能性もあるのです。
国民の70%が農業従事者であるミャンマー
先に書いたように、私が移り住んできたミャンマーのシャン州は気候もよく、土地も豊かでミャンマーのなかでも特に農業に適した場所です。
また国民の70%が農業従者と言われるミャンマーで、私たちが住むインレー湖周辺でも湖の水を利用して、水田や様々な野菜を育てたり、農業で生計を立てている人が多くいます。
ですが、近年この恵まれた気候にありながら農民たちの「農薬」と「化学肥料」の大量使用が問題になり、恩恵を受けていたインレー湖の水さえも汚染され始めているのです。
そんなシャン州での農業が問題になり始めていた時、私はミャンマーにやってきました。大好きなミャンマーで事業をおこそう!そう思い、ミャンマーでの調査を開始したのでした。
有機農業の先生との出会い
偶然に偶然が重なって、ミャンマー語の話せない私をサポートしに来てくれたのは知り合いの有機農業の学校先生でした。
日本への勇気農業の研修に行くために学校の先生を辞めたのだけど、事情があって日本への渡航が叶わなくなったところだったそう。
私にとってはむしろ幸運であったこと。「ミャンマーで有機農業を広めて行くために一緒に働きませんか?」
出会って1週間後にはビジネスパートナーとしてのお願いをしていました。私からのオファーを受けた彼は、さらに1週間悩んだ後に、私とビジネスを始めていくことを決意してくれたのでした。
ちなみに、ビジネスパートナーであり、将来のビジョンが似ていた私たちはビジネスだけではなく自然とプライベートでも支え合う仲になり、今は夫婦として人生のパートナーとしても共に歩んでいます。
ミャンマーの農業で問題になっていること
農薬や化学肥料の大量使用
ミャンマーの村の農業の様子を見せてもらうと、慣行農業も行ったことのある夫はその農薬と化学肥料の使用量に驚いていました。
農民自身も「農薬や化学肥料のパッケージは中国語やタイ語ばかりで、ちゃんと読めない。目分量で使っている。」
農薬や化学肥料を目分量で使っているなんて、危なすぎます。使用する方もですが、農薬や化学肥料たっぷりで作られた農作物は人体に良いはずがありません。事実、そういった作物を口にした人々からは農薬中毒症状が何件も報告されていました。
農業の知識や技術がないことによる農家自身の低収入
害虫を寄せ付けないために農薬を多く使いすぎ、作物をより大きく見栄え良く育てるために化学肥料を使いすぎて、農業で生計を立てるはずが収支が合わない農民が多くいました。これはちゃんと農業にかかっているコストと、収入の計算ができていないためです。結果、汗水流して一生懸命作った作物も赤字ということがたくさんあるのです。
「農業の技術も知識もどこから教わればいいのかわからない。」農家が声をそろえて言っていることです。
気候がよく、土地も豊かで、可能性にあふれているのにもったいない。良いものを少しの知識と技術だけがないがゆえに生かせずいます。
有機農業の大切さを知っている私たちだからできること
ミャンマーの農業技術向上については、ミャンマー政府や海外資本のNPOなども一生懸命に取り組んでいます。
私たち夫婦は大きな団体でもないけれど、政府などがまだ届かない村との関係を丁寧に築き、有機農業を少しずつ伝えていこうと思っています。
夫が日本の有機農業の研修センターで学んだ、有機肥料の作り方をミャンマーで実践して製造販売してみる。合わせて農業の正しい知識と技術も農民に伝えていく。少しずつだけど、未来にも良い持続可能な農業を広めていきたいと思っているのです。
ミャンマーの食に関する消費の次のステージは、健康志向によるオーガニックまたは減農薬などの需要増かもしれません。隣国のタイみたいに、健康に良い作物や食べ物が求められるようになってくるでしょう。ミャンマー最大都市ヤンゴンでは少しずつ、オーガニックのお店が聞かれるようになって来ました。
国が開かれたことによって海外の農薬や化学肥料が無法に使用されるという大きな代償をはらんだような、今起こっているような発展ではなく、持続可能な国の発展に私たちは力を尽くしたいと思っています。
人間の健康を害すような農薬などに頼らない方法で、有機農業などの技術を伝承して土壌も作物が育ちやすい良い状態に保つ、そういった未来に繋がる発展のカタチがあるはずです。
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